ご主人を亡くされた、奥さんより相談がありました。

ご夫婦には子供がありませんでしたが、いくばくかの預貯金が奥さんのために残されました。

ご主人が死亡後、二人で築いた預金を銀行へおろしに行ってびっくりです。

銀行側から「この預金は、奥さんと、ご主人の甥子さんに署名と実印押していただかないと払い出しは出来ません」と言われたそうです。

戸籍謄本は司法書士に依頼し何とかそろえ、遺産分割協議書を作成し、甥から署名と実印をやっとの思いで押してもらいました。

仏壇に向かいご主人に報告いたしましたところ、仏壇の引き出しから別の定期預金の証書が・・・遺産分割協議書にはその定期預金証書について何も触れていません。

失敗した遺産分割協議書
相続相談室便り

相続税の申告、遺産分割協議書、名義変更、財産目録の作成、戸籍謄本の取り寄せ、手続き期限、当事者になった時でないと考えることもなかったことです。しかし、そんな時は突然やってきます。



分割協議
実例から言うと、分割協議が申告期限までに決まらずに配偶者の税額軽減や小規模宅地等の評価減が取れないものは、やはり3年以内にも決まらないのが実情です。

10カ月の間にもめて納まらず、とりあえず法定相続通りにやっておいたとします。これは税法上は問題がありませんが、申告期限に決まらない案件は、3年たってもやはり同じ状態です。3年あるから「冷静になって、皆が損することだから話しあい、何とか1歩も2歩も譲りながら決めましょう」とはなりません。

そんなときに税理士などから、「税金を安くするというのは皆さんの共通の認識、共通の利益なんだから、冷静にやりましょうよ」と言われても、カッカするだけです。おまけに、「我々は最初はゼニ勘定で闘ってきたけれど、今やゼニ勘定の問題ではないんだ。感情の問題で、あいつは許せない!税金が高い安いの問題ではないんだ」

とまでエスカレートしてしまいます。こんな有様では、「申告期限までに決まっていたら、こんなことにならなかったのに」となってしまいます。